アキイトスゲ
Carex kamagariensis K. Okamoto
【国内分布】本州(広島県)、四国(愛媛県)、九州(佐賀県:加唐島、松島)、対馬。【国外分布】朝鮮南部。
【同定のカギ】海岸近くの疎林内生える多年草で密に叢生する。基部の鞘は褐色でやや光沢が有り、古いものは繊維状に細裂。頂小穂は雄性で線柱形、雄鱗片は、薄い褐色で芒はない。雌小穂は柄は大変短い、雌鱗片は長い芒がある。果胞は中央が凹み有毛で嘴は短い。痩果は中央が凹んだ紡錘形で、町歩に環状の付属体がある。柱頭は3岐。
【ノート】タイプは広島県上蒲刈島で1965年に岡本香により発表された。ホンモンジスゲ類の特徴を持ち、雌鱗片のみに長い芒が有り、痩果の中央が凹むことで近縁種と区別される。対馬から瀬戸内沿岸の島嶼部に見られる。韓国の南部にも分布することから朝鮮半島から分布を広げた可能性もある。ゲンカイモエギスゲに似るが、雌鱗片の芒が特に長いことで区別できる。アキイトスゲの果胞をアリが運ぶのに出会う機会が多い。アリ散布でも分布を拡大していると思われる。

アキイトスゲ、下蒲刈島、4月25日


基部の鞘、褐色でやや長い            花序


花序                    雌小穂、長い芒を持つ雌鱗片


果胞            果胞と痩果          痩果、中央が凹む


アキイトスゲの果胞を運ぶアリ

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