ニシノホンモンジスゲ
Carex stenostachys Franch. et Sav. 【国内分布】本州(東北地方の西部から近畿、中国地方)、四国、日本固有。
【同定のカギ】林床や路傍に生える多年草で、叢生して大株となる。基部の鞘は暗褐色〜濃褐色。雄鱗片は鈍頭。果胞は、雌鱗片より長く、稜間に4−5脈があり、密に毛が生え、上部は急に狭まり短嘴となり、口部は2小歯となる。柱頭は3岐。
【ノート】ニシノホンモンジスゲは林床や林縁に普通に見られる。大株となり、東北地方から中国地方に広く分布する。近縁なミチノクホンモンジスゲとは匐枝がなく、叢生して大株となる点で区別する。小山(1955)は北陸地方の多雪地帯に生育するものをコシノホンモンジスゲ (C. stenostachys Franch. et Sav. var. ikegamiana T.Koyama) として発表した。この変種は株が叢生し匐枝があることから、ニシノホンモンジスゲとミチノクホンモンジスゲの中間の形質を持つ多雪地帯型と考えられる。瀬戸内沿岸地域に見られるヒメカンスゲと似ているが、雄鱗片および雌鱗片の形態で容易に区別できる。ニシノホンモンジスゲは芒状突起をほとんど持たず円頭状であるが、ヒメカンスゲには芒状突起が見られる。また、ニシノホンモンジスゲの基部の鞘は褐色で長い。
ニシノホンモンジスゲ 路傍の斜面などに普通に見られる 広島県福山市芦田町 2004年4月18日 |
花序 雄小穂を頂生、短い柄がある 雌小穂、鱗片は褐色 |
スキャナー像 基部の鞘は暗褐色〜濃褐色、繊維状に細裂 |
鱗片と果胞、果胞の口部は2小歯 果胞、密に毛、嘴は短い |
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